当HPをご覧いただいた方はすでにご存知と思いますが、ウォークマンはある時期から、「長時間再生」が重要訴求ポイントとなっていました。
そして新機種が発売されるたびに、カタログに表示される「○○時間連続再生」の時間が大きくなっていき、EX9でついに「100時間」という数値を達成しています。
このウォークマンの長時間再生実現には、2つの要素があります。
(1)本体の省電力化
(2)ガム型充電池の容量拡大
ただし、このガム型充電池の容量は頻繁に拡大されているため、カタログ上再生時間が拡大していても、「本体の省電力化はどの程度なのか」ははっきりとはわからないのが難点です。
そこで、それぞれのモデルが本当はどのくらい省電力化されたのかを調査・比較してみました(ただし、全モデルを列挙するのは大変なので(^^;)ガム型充電池に対応している、メインストリームモデルで比較)。
まず、これまでソニーからウォークマン用として発売されたガム型充電池の種類は以下のとおりです。(筆者調べ)
※最近、電池容量の表記方法が変わり、電池に2つの容量が併記されています(平均容量ならびに最小容量(min.)表示)。これらの電池は比較数値として平均容量の数値を採用しましたが、厳密な比較にはなっていない可能性があります。
型名 | 電池種類 | 容量 | NC-5WM=1とした相対容量比 |
NC-5WM | ニッケルカドミウム | 450mAh | 1 |
NC-6WM | ニッケルカドミウム | 600mAh | 1.33 |
NH-9WM | ニッケル水素 | 820mAh | 1.82 |
NH-9WM(A) | ニッケル水素 | 900mAh | 2 |
NH-9WM(S) |
ニッケル水素 | 1000mAh | 2.22 |
NH-9WM(N) | ニッケル水素 | 1200mAh | 2.67 |
NH-10WM | ニッケル水素 | 900mAh(min.)=1000mAh? | 2(=2.22?) |
NH-14WM(A) | ニッケル水素 | 1350mAh(min.)=1400mAh | 3(=3.11) |
この表から、ガム型充電池の容量は、初代から現在に至って、およそ3倍に拡大したことがわかります。そして、これらの充電池のうち、どのモデルにどの充電池が付属していたのかを調査、それぞれのモデルの再生時間をNC-5WM換算で算出してみました。
※換算にあたっては、充電池の特性および各モデルの消費電流特性を無視しております(^^;ので、あくまで概算と考えてください。
型名 | 付属充電池 | 充電池連続再生時間 | NC-5WM換算値 | WM-101=1とした相対値 | 備考 |
WM-101 | NC-5WM | 2時間 | 2時間 | 1 | リモコン未対応 |
WM-501 | NC-6WM | 4時間 | 3時間 | 1.5 | リモコン未対応 |
WM-550C | NC-6WM | 3時間 | 2.3時間 | 1.15 | リモコン未対応 |
WM-701C | NC-6WM | 2.5時間 | 1.9時間 | 0.95 | 10周年モデル |
WM-DD9 | NC-6WM | 2.5時間 | 1.9時間 | 0.95 | プロフェッショナル |
WM-EX88 | NC-6WM | 3.5時間 | 2.6時間 | 1.3 | |
WM-EX909 | NH-9WM | 7.5時間 | 4.1時間 | 2.1 | デュアルヘッド |
WM-EX808 | NH-9WM | 6時間 | 3.3時間 | 1.7 | |
WM-EX999 | NH-9WM(A) | 8.5時間 | 4.3時間 | 2.2 | デュアルヘッド |
WM-EX1 | NH-9WM(S) | 12時間 | 5.4時間 | 2.7 | 15周年モデル |
WM-EX5 | NH-9WM(N) | 22時間 | 8.2時間 | 4.1 | |
WM-EX9/EX20 | NH-14WM(A) | 40時間 | 13.3時間 | 6.7 | Fメカ |
WM-WE01 | NC-6WM | 8時間 | 6時間 | 3 | 20周年モデル |
WM-EX2000 | NH-14WM(A) | 50時間 | 16.6時間 | 8.3 | Fメカ改 |
こうしてみると、やはり省電力メカニズムを搭載した「スタミナ・ウォークマン」EX909から、急激に省電力化が進んでいるのがわかります。
そして、省電力の進化はとどまるところを知らず、WM-EX2000に至ってはNC-5WM換算で16時間以上と圧倒的な長時間再生を実現しています。充電池+乾電池で連続100時間再生を売りにしていたEX9/EX20よりもさらに3時間以上再生時間が拡大しており、WM-101からは実に8倍もの省電力化を実現したことになります。
スタミナウォークマンNo.1は、WM-EX2000という結果になりました。
(ただし、WM-EX2000はここまで省電力化を追求した結果、モータートルクがかなり少なくなっているようです。そのため、昔の回転抵抗が大きいテープや、長時間巻き(90分以上)のテープなどはかなり苦しくなります。テープによってははっきりとワウフラが感じられるほど・・・)
以上です。