1979〜1981

黎明期

 

この頃のヒットソング1979〜1999
※1999年に銀座ソニービルで開催された「WALKMAN20周年記念イベント」の歴代モデル展示において解説されていたものを転記しました。


1979
チャンピオン(アリス)
モンキーマジック/ガンダーラ(ゴダイゴ)
夢想花(円広志)
YOUNGMAN(西条秀樹)
美・サイレント/しなやかに歌って(山口百恵)
ファイアー(ポインターシスターズ)
Y.M.C.A(ヴィレッジ・ピープル)
サッド・アイズ(ロバート・ジョン)
ハート・オブ・グラス(ブロンディ)
リング・マイ・ベル(アニタ・ワード)

1980 さよなら(オフコース)
贈る言葉(海援隊)
ランナウェイ(シャネルズ)
順子(長渕剛)
青い珊瑚礁/風は秋色(松田 聖子)
プリーズ・ドント・ゴー(KC&ザ・サンシャイン・バンド)
ロック・ウィズ・ユー(マイケル・ジャクソン)
愛の証し(キャプテン&テニール)
愛という名の欲望(クイーン)
ロンガー(ダン・フォーゲルバーグ)

 

<一号機登場>

 
 
型名:
TPS-L2
(肩掛けベルト付きキャリングケース付属)
通称:
ウォークマン
本体寸法(WxHxD):
88x133.5x29mm
重量(乾電池含む):
390g
電源:
単三乾電池×2
  電灯線(別売ACアダプタAC-31)
  充電式電池(別売バッテリパックBP-33)
  カーバッテリ(別売カーバッテリコードDCC-127A)
電池寿命:
マンガン電池2.5時間、アルカリ電池8時間
使用半導体(!):
トランジスタ×5、IC×5、ダイオード×3、FET(内蔵マイク)
実用最大出力:
ヘッドホン出力15mw+15mw
周波数特性:
40Hz〜12,000Hz
付属ヘッドホン:
MDR-3L2
標準価格:

33,000円


その歴史的意義についてはもはや説明の必要はないでしょう。1979年7月に発売。ウォーキングステレオなるジャンルを創出した第一号機です。このモデルについての秘話/逸話はいろんなところで語られているので、ここでは私的な思いを一つ。
このころ、私はまだ小学生(うっつ。歳がばればれ)でした。そんなわけで、私が初めてこのモデルを知ったのは、実は二代目(WM-2)より後でした。ので、逆に大きさとか、重さが目に付いてしまいましたが、左右独立スライド型のボリュームや頑丈そうなボディは印象に残っています。まあ、もともとプレスマンというビジネス録再機がベースなので、致し方ないのですが。
また、このモデルは本体上部のスイッチを押すと外部の音を本体内蔵マイクで拾い、ヘッドホンでモニタできるという機能(ホットライン機能)が付いていました(その後採用されないところを見ると、過剰スペックだったのでしょう)。
電池寿命もアルカリ乾電池2本で8時間という立派なものです。 しかし、使用している半導体がカタログに記載される時代だったんですねえ。
ちなみに、同じ年の10月に電電公社(NTT)が自動車電話サービスを開始しています。基本料金は月額三万円だったそう。オーディオと電話が同時に歩き出した年でもあったわけです。
また、同じ年の8月にNECが名機PC-8001を発売しています。(私のパソコンへの関心もこのあたりから始まりました。)
こう考えてみると、現在のデジタル家電の三種の神器(パソコン・携帯・ポータブルオーディオ)原型がちょうど20年前のこの年に揃って生まれたのはなんだか興味深いです。



 

<ブームの立役者:二代目>

 
 
型名:
WM-2
(肩掛けベルト付きキャリングケース&バッテリケース付属)
通称:
ウォークマンU
本体寸法(WxHxD):
80x109x29.5mm
重量(乾電池含む):
280g
電源:
単三乾電池×2
  バッテリケース使用時:単一乾電池×2
  電灯線(別売ACアダプタAC-39)
  カーバッテリ(別売カーバッテリコードDCC-127A)
電池寿命:
マンガン電池4時間、アルカリ電池9時間(単三乾電池)
  マンガン電池27時間、アルカリ電池60時間(単一乾電池)
最大出力:
ヘッドホン出力20mw+20mw
周波数特性:
40〜15,000Hz(メタルテープ使用時)
  40〜12,000Hz(ノーマルテープ使用時)
付属ヘッドホン:
MDR-4L1S
標準価格:
32,000円

わたしにとって忘れられないモデル。当時中学生だった私は(またもや歳バレ)、クラスメートがもっていたこのモデルを見て衝撃を受けました。斬新なデザイン。カセットケースより(高さが)小さいそのサイズ。またそのサイズからは想像もできない音。ヘッドホンステレオとの最初の出会いでした(それ以来、ウォークマンを追いかけている・・・)。

プレスマンをベースに作られた一号機に対して、WM-2は始めからウォークマンとして設計されたため、小型化のためのアイデアが随所にみられますが、なんといっても特筆すべきは、これまで表としてデザインするのが常識だったカセット確認用の窓のある蓋を裏にまわし、メカデッキ側(つまり裏側)を表としてデザインした点でしょう。これによって独創的なボタンレイアウトとともに、ウォークマンのデザインアイデンティティが確立されました。そしてこれまた本体側に付いていたのが常識だった磁気ヘッドを蓋に移し、(カセット内部に入り込むための)磁気ヘッド移動量を半分にする手法は現在のウォーキングステレオの基本設計となっています。
また、メタルテープの普及に伴い、ウォークマンもこのモデルでメタルテープへ対応しています。(当時のメタルテープはまだ大変高価でした。46分テープでなんと1,000円!「メタル対応」がこの頃のオーディオ流行語)。 しかし、まだノイズリダクション(DOLBY-B)は未搭載でした。 そして長時間再生へのこだわりが外付けのバッテリケースの提供という形で現れ、連続70時間再生をアピールしていました。実際は両方装着するとけっこう重装備ですが、当時はこれもファッションとして成立してました。

このモデルは爆発的な人気で、ショップでも入荷待ちだったりしました。このころから、他社もウォーキングステレオ市場に参入してきました。が、当時町中で見かけるのはほとんどこのモデルといってよかったと思います。ソニーの資料によるとこのモデル単体で250万台出荷したそうです。このモデルの設計の優秀さは、その後たくさんのバリエーションモデルを生み出すベースとなったことからもうかがえます(レコーディングモデル、FMチューナ付きモデル、高性能プロフェッショナルモデルなど)。

 

後になってウォークマンで初めてカラーバリエーション、赤と黒の2色が追加されました(IIの文字に注目)。一番人気はやはり赤だったようです。

 



 

<高級路線で一号機復活>

 
 
型名:
WM-3
 
通称:
ウォークマン・デラックス
本体寸法(WxHxD):
88x133.5x29mm
重量(乾電池含む):
390g
電源:
単三乾電池×2
  バッテリケース使用時:単一乾電池×2
  電灯線(別売ACアダプタAC-39)
  充電式電池(別売バッテリーパックBP-33)
  カーバッテリ(別売カーバッテリコードDCC-127A
電池寿命:
マンガン電池2.5時間、アルカリ電池8時間(単三乾電池)
  マンガン電池22時間、アルカリ電池55間(単一乾電池)
最大出力:
ヘッドホン出力20mw+20mw
周波数特性:
40〜14,000Hz(メタルテープ使用時)
  40〜12,000Hz(ノーマルテープ使用時)
付属ヘッドホン:
MDR-4L1
標準価格:
36,000円

高級感をテーマにして初代モデルをリメークした、3代目モデル。私は当時このモデルの黒とゴールドの外装が印象的でした。ウォークマン2が全体的にプラスチッキーだったので、このメタルボディはたしかに高級感がありました。
さらに、機能追加としてメタルテープ対応と、外付けバッテリケースの付属を行っています。

しかし、このモデルについては高級感だけで4000円のプライス差を埋めるには厳しいものがあったと思います。2代目の小型軽量化路線がウォークマンの正常進化だったのに対して、単純な高級志向は求められている方向とは少しベクトルが違っていたと思います。高級化には(プロフェッショナルシリーズのように)高性能化が伴うべきだったでしょう。実際に持っている人もほとんど見かけませんでした。むしろ、このモデルはラインアップの充実、あるいはWM-2の品薄を補うものとして商品化されたのかもしれません。

この高級路線はギフトのエッセンスを加えてさらに追求されました。

豪華化粧箱に入れられたシャンパンゴールドのギフト用ウォークマン「ウォークマン・エクセレント」。

WM-3EX

標準価格40,000円

付属ヘッドホン以外はWM-3同等。持っている人を見たことがなかった。

 



 

<お次はFM!>

 
 
型名:
SRF-40
通称:
エフエム・ウォークマン
本体寸法(WxHxD):
77x110x25mm
重量(乾電池含む):
205g
電源:
単三乾電池×3
電池寿命:
マンガン電池30時間
最大出力:
ヘッドホン出力30mw+30mw
付属ヘッドホン:
なし(写真は別売りMDR-4L2)
   
標準価格:
11,800円

ウォーキングステレオって意味ならFMでもいいじゃんてゆうかFM聞きたい人もいるだろうしそうでしょ出すしかないでしょおりゃあお次はFMだ!(ス○パ斉藤風)というわけでお次に登場した、FMラジオ専用モデル。ウォークマンシリーズ初のヘッドホン別売りという構成なのも、おそらくウォークマンユーザのサブマシン的な位置づけを狙ったものと思われます。

しかし、自分の好きな曲が聴けるわけでもないFMラジオ専用モデルは本家の人気には遠く及びませんでした。また、当時のエアチェックを強く意識したFMラジオのプログラムはスタイルに合わなかったと思います(むしろJ−WAVEみたいなノンストッププレイ局のある現在のほうが売れたかも)。

カラーリングを2色にして再登場したエフエム・ウォークマン

SFR-30

(ステレオヘッドホンMDR-1付属)

標準価格13,000円

こんどはヘッドホンが付属した(以外はSRF-40同等)。

 



 

<そんならAMもつけてどうだ!>

 
 
型名:
SRF-80
通称:
ラジオ・ウォークマン
本体寸法(WxHxD):
65.5x113.5x24mm
重量(乾電池含む):
150g
電源:
単四乾電池×3
電池寿命:
マンガン電池AM18時間、FM11時間
最大出力:
ヘッドホン出力30mw+30mw
付属ヘッドホン:
MDR-4L1
標準価格:
21,800円

ラジオリスニングにとことんこだわったラジオ専用モデル。前モデルに足りない部分をすべて補完し(AM受信、小型軽量化、ヘッドホン付属)ボディもメタル製となって高級感を増した。が、肝心の電池寿命は短くなっていて、しかも値段は約2倍になってしまった。製品としての完成度は高かったのですが、この値段でラジオ専用モデルを買う人はほとんどいなかったのではと思います。(以後、ラジオはウォークマンにビルトインの形でのみ存続)

しかし、最近MP3(急激に新しい話をしてしまってすみません)を聴くにつけ、将来は高速な携帯電話回線をつかったMOD(MUSIC ON DEMAND)システムで、自分の好きな曲を好きな時に聴くようになるのではと強く感じます。となるとウォーキングステレオの将来は実はこんなラジオ(+携帯電話)スタイルなのかも





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