ウォークマン開発ストーリー Vol.7

WM-504(1987

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充電スタンド誕生

ある時、知人から 「ウォークマンもコードレス電話の子機のように非接触(電磁結合)でスタンド充電をしたらどうか」 という提案をもらいました。
実はWM-101の時にも、そのアイデアはありました。しかし、ウォークマンにとって重要なのは小ささと軽さであり、非接触充電は大きくて重い電磁コイルを本体に入れる必要があったため、この時は話はここで終わりました。

しかし、もしサイズと重さを変えずに、そしてコストをあまりかけずにスタンド充電が実現出来たら、それは価値があるとずっと思っていました。

今回のWM-504の構造は、WM-101のときと違って、ガム電池は本体に収納されるようになっていました。さらに、単三電池も外付けケースの利用で使えるような設計になっており、この外付け電池ケース用の接点が、本体に設けられていました。

この時、「この外付け電池ケース用の接点を、充電スタンドからの充電用接点として使えば、本体を一切変更することなく、つまり重さも大きさも変えることなく、スタンド充電が可能となるのでは」とひらめきました。

スタンド充電なら、今までのウォークマン本体からガム電池を取り出して充電器にセットし、さらに充電器をコンセントに差し込む、といった一連の手間が不要となります。例えば、寝るときにウォークマンを充電スタンドに乗せるだけで、充電が完了するのです。

ただし、外付け電池ケースを併用している場合、スタンド充電時に電池ケースをその都度外す必要があり、少々面倒になります。しかしスタンド充電とすることで、手軽にバッテリーをチャージできるようになれば、日常使用は充電池のみでカバーできるのではと考えました。そうなれば、よほど長時間使う人を除いて、単三電池を併用してバッテリーライフを延ばす必要が無くなり、同時に電池ケースを付けはずしするシーン自体が無くなるだろう、と考えました。

さらに、スタンド充電に必要な電力については、既存のガム電池用充電器から供給するアイデアを考えました。その方法は、充電スタンドから出ているリード線の先端に「ガム電池型アダプタ―」を設け、それををガム電池用充電器にセットして、コンセントに差し込むことで充電できるようにしたのです。これによって、追加付属はガム電池型アダプタ―付の充電スタンドだけで済み、高価な充電スタンド専用のACアダプターが不要となるため、コストダウンが実現します。

早速企画担当に提案したところ大賛成となり、即WM-504に導入されることが決まりました。
しかし、少し早すぎた提案だったのでしょうか、残念ながら市場ではほとんど評価されず、この充電スタンドはWM-504のみで終了となってしまいました。しかし、その数年後、再び見直され、それ以降はウォークマンのメイン充電システムとしてほぼ全ての機種で採用されるようになったのでした。

充電器にセットしたガム電池型アダプター

(談:S様)

 

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